dely株式会社が運営する「TRILL」は国内屈指の規模の女性向けメディアだ。
取り扱うコンテンツはコスメ・メイク・ファッション・お出かけ情報から恋愛・芸能情報までと幅広い。コロナの影響で、最近はヘルスケア関連のコンテンツも人気を集めているという。
この「TRILL」のいわば”心臓部”での業務――ユーザーニーズを捉えた上で、サービス・コンテンツを作り、展開・発展させていく――を担うのが、冨田と高瀬が所属するマーケティング部だ。
聞けば彼ら、delyへの入社前も、ふたり同じ出版社、同じデスクで編集者をしていたという。
先にdelyに転職していた冨田が「どうしてもTRILLに必要だ」と熱心に高瀬を”口説き落とした”そうで……?
ふたりがdelyを選んだ理由、そして、いま「TRILL」で働くことの面白さを聞いた。
同じ出版社出身のふたり
高瀬:
約11年間、雑誌やムックの編集をしていました。編集者は僕のキャリアの中でも一番長い経験ですね。エンタメ誌からマネー誌、英語教材のムックまで本当に幅広いジャンルを担当していました。そこで冨田さんと出逢ったわけです。
冨田:
僕から高瀬さんの経歴を紹介した方が良かったかも。彼、謙遜しいなので。
高瀬:
いやいや(笑)。紙一本だったわけではなくて、雑誌を編集する傍らWebメディアにも携わりはじめ、編集長という立場になりました。しかし出版社はまだ、思い切ったデジタルシフトができていないところも多いんですよね。僕がいたところも当時はその傾向があって、「新しいこと・面白いこと」にチャレンジするのに自分的にはベストな環境というわけではなかったんです。
そんな状態のときに、すでにdelyにいた冨田さんとZoom飲みをしたんです。ちょうど、そういうのが流行りはじめたころだったんですよ(笑)。
Zoom飲みで「一本釣り」 すぐに外堀を埋めて選考へ
冨田:
あの夜、朝まで飲んだんですよね。しかもサシで。
高瀬:
そうそう。冨田さんのdelyや「TRILL」の話が魅力的で、お酒が進んで酔いも回った。あんまり面白そうだから、何かの弾みで「入社させてよ」って言っちゃった(笑)。
冨田:
僕としては「かかったな」という感じでしたね。もともと誘う気満々でしたから。気が変わらないうちに外堀を埋めようと、すぐにオフィスにも来てもらいましたし、一緒に働くことになるメンバーにも会わせました。

高瀬:
会社そのものはもちろん知っていたんです。自分のいる環境とおそらく正反対であろうITやベンチャーに興味はありましたし、(代表の)堀江さんのインタビュー記事も読んでいました。
何より、「冨田さんが行った会社だから」っていうのは大きかったですね。会社の掲げるバリューやミッションも自分の志向に合っていたし、オフィスに足を運んでメンバーに会ってからは、より一層関心が増しました。
その時点では、「TRILL」という媒体にというよりは、会社やヒトに興味を持ったというのが正直なところです。
かつての同僚。なぜdelyに「必要な人材」だと思ったのか
冨田:
「高瀬さんはdelyにぴったりだ」という絶対の確信があった。彼の仕事のスタイルは「敷かれたレールの上を進むのではなく、自らレールを敷く」なんですが、これはまさに僕が思うdelyのあり方・行動原理なんです。
編集者ですから取材や企画立案はできて当然ですが、高瀬さんは取材先を自ら開拓しますし、立てる企画も斬新。前職では彼の作る本が毎月増刷していた時期もありました。
delyは会社組織ですのでもちろんチームワークを重要視しますが、優秀かつ能動的なプレイヤーであることが何より重要だと思っています。特に、メディアとして新たなフェーズに進む「TRILL」においては、「作られた組織」で「与えられた仕事」をこなすのではなく、「自分でチームも作る」し「仕事も生み出せる」人の方が活躍できるんです。そういった意味で、高瀬さんのような方にどうしても来て欲しかった。
ただ、直での引き抜きとなるとさすがに憚られて、僕から直接声をかけることはできなかった。だからなんの下心もありませんよという”てい”でZoom飲みをセッティングして、高瀬さんからのアクションを待っていたんです。
高瀬:
他にもくだらない話、いっぱいしましたけどね(笑)。

それぞれが考える「ここで働くこと」の価値
冨田:
高瀬さんも驚かれたと思いますが、とにかくdelyは意思決定の速い会社。
僕たちのいた出版社にも言えることですが……出版業界はまだオールドファッションで、意思決定までに相当のプロセスと時間を要するところが多いんです。そして往々にしてその意思決定には政治が絡む。そんな世界で生きてきたので、delyの「良いと思ったらすぐにやる」というスタイルは非常に新鮮でしたし、僕にとっては入社以来ずっと、ストレスなくやれる環境です。
「意思決定が速い」というのは、決してその検討プロセスが雑であるという意味ではありません。やりたいことがあり、そしてそれを遂行できうる人に対してNOを言う会社ではない、ということです。

高瀬:
確かに、物事がストレスなく進んでいく感覚はあります。
ここで働く価値として付け加えるとすれば、「TRILL」の規模が圧倒的であること。前職でやっていたWebメディアと比較しても、コンテンツ量や幅、PV数、おしなべて桁が違う。それを任せてもらえるというのは、責任も感じますが楽しいですね。
雑誌組織やWebメディアの「良いとこ取り」
冨田:
一般的なキュレーションメディアでは、コンテンツを扱うチームがマーケティングとは別組織であることも多いと思いますが、TRILLはワンチーム化をしているのが特徴です。
極端な例ではありますが、かつてのDeNAメディアの事件のように、コンテンツが集客ツールとして捉えられ、生産することそのものが目的になってしまうようなケース。また、逆に、コンテンツ領域が聖域化してしまい、マーケやその他の事業部が気軽に連携できないようになってしまっているという話も聞きます。
僕たちはレガシーな出版社にいながら、Webサービスの立ち上げからグロースまで経験したからこそ、コンテンツが生産目的になることも、聖域化することも、事業の成長にとっての最適解ではないという思いがありました。だからこそ、マーケティング部の中にコンテンツチームを内包し、記事制作やパートナー開拓を行うチームが、グロースサイドとも密に連携する体制を取っています。
いわゆる「編集者」というポジションは作らず、コンテンツ配信をするメンバーが、分析やコスト管理なども含めて、マーケティング視点を持ったアプローチをすることを非常に大切にしています。
自分たちの作ってきた雑誌組織やWebメディアの「良いとこ取り」をした、データドリブンな組織にしたことで、この一年間で飛躍的にユーザー数を伸ばすことに成功しました。
“「TRILL」に向いている人”とは
高瀬:
自分の経験やスタイルに拘ることなく、まっさらに取り組める人でしょうか。
過去の成功体験……つまり、己の確立されたスタイル・スタンスを全て捨てなければ、「TRILL」、そしてdelyでは通用しないな、と入社して改めて思うんです。
僕自身、delyに入社してから作業効率を上げるために業務内容を見直したり仕組み化したりして、限られた時間の中でいかに最高のパフォーマンスをするかという点に重きを置いています。編集者時代のほうが働いている時間は正直めちゃくちゃ長かったけど、一日が終わると、今の方が「頭が」どっと疲れているのが分かりますね。「ああ今日も脳に汗かいて働いたな、やり切ったな」という実感があります(笑)。
そして、僕のいるチームは、経験が浅いメンバーが多いんです。現在の「TRILL」は、もはや単にPV数やコンテンツ数を追うのではなく、「国内No.1女性メディア」をもう一・二段上のステージに持っていくフェーズです。そんなタイミングだからこそ、メンバーみんなで答えを探したり、経験が浅い人の声を積極的に拾ったりすることが大事だと思います。
僕は自分の経験則を−−「高瀬論」みたいなものを押し付けてしまわないよう心がけていますね。
経験があるに越したことはない。けれど、柔軟かつフラットに仕事やチームに向き合える人が(経験の浅いメンバーが多いからこそ)向いているのではと思います。
冨田:
フラットである、そして一つの物事に固執しないという点は同意見ですね。僕は、日々の仕事が面白いので、「挑戦したいこと」はないんです。既存事業やアップデート、一週間後や十年後のこと——優先度はあれど、それらに仕事としての面白さにおける「違い」はない。
「TRILLにとって必要なこと」はひっくるめて全部、仕事なんです。「この場の足元」を固める作業だって楽しいし、五年後に向けた仕込みをすることももちろん面白い。
「ものすごくマーケティング分野で尖りたい」「SEOを磨いていきたい」という特定の志向を持った人よりも、こういった「組織の範囲内でベストなことをなんでもやれる」人の方が向いているんじゃないかな。
「TRILL」は、コア事業が固まっていません。記事メディアとして大きな規模に成長したし、一定のフォーマットもあるものの、いろんなことをやるべきだし、いろんなチャンスがあるのが現在の「TRILL」です。やりたいことがあればやらせてもらえる環境ですから、何かに固執するのではなく、「新しいことが大好き」で、「なんでもやりたいな・やれるな」と思える人の方がこのチャレンジングな仕事を楽しめるはずです。
高瀬:
僕も今こそコンテンツを作っていますが、実のところ「TRILL」の事業ドメインにはそこまでこだわりがないんです。
とにかく、より多くの人に使われ、愛されるサービスに育てたい。日々目まぐるしく発展していく「TRILL」で、コンテンツ作りに忙殺されず(笑)、積極的に事業や組織に絡んでいきたいです。